北朝鮮国民が語る駆逐艦事故「もはや技術者がいない」
続けて彼は、「新聞や放送では『事故はあったが被害は大きくない』と報じられ、現在復旧作業が進行中だとしているが、実際は簡単ではない」と語ったうえで、「横倒しになった艦を起こすには大型クレーンが必要だが、この造船所にはそのような設備がない」と述べた。
「海上クレーンを使うこともできるが、艦が倒れている造船所の埠頭は狭く、複数のクレーン船を配置するのが非常に困難だ。しかも、造船所の埠頭は海と直接つながっておらず、狭い水路を経て陸地奥深くに位置しているため、巨大なクレーン船を(いかにして)現場まで持ってくるかが問題だ」と付け加えた。そのため、造船所の埠頭へと通じる狭い水路を拡張する作業が進められているとのことだ。
(参考記事:「思想の強いド素人」が引き起こす北朝鮮の重大事故)なお、この造船所は、1937年に設立された「清津造船鉄工所」と「咸北造船鉄工」が、朝鮮戦争後に旧ソ連からの援助で復旧、統合、拡大されたものだ。日本海に流れ込む輸城川(スソンチョン)河口付近の潟湖を締め切り、一部を埋め立ててドックとしているが、外海に出る部分は潟湖であった当時の地形がそのまま残されており、航路が狭くなっていることが衛星写真からも確認できる。